北海道でのパークゴルフの発展と今後

北海道発のパークゴルフは始まりから約30年間を経過し、今では道民のスポーツとして定着し、高齢者やファミリーの身近で日常的なレジャーとして全道のどこの地域でも楽しまれています。

弊社では、パークゴルフの発展の初期から設計や調査に携わってまいりました。ここでは、パークゴルフ場整備状況や利用実態調査についてのレポートの概要をお伝えいたします。

1.パークゴルフの歴史

パークゴルフは1983(昭和58)年北海道の幕別町教育委員会により考案されました。幼児から高齢者まで手軽に楽しめるファミリースポーツとして好評を得、官民によりパークゴルフ場が相次いで整備された結果、現在では全道の大部分の市町村に開設されています。

パークゴルフの愛好者の増加は道内のみならず、国内、海外でも人気の高まりにより、コースの開設が相次いでいます。

近年では、利用者の競技志向が強くなり各種大会の開催も活発で、民間においてはホテル宿泊とパークゴルフをセットした観光企画も盛んな状況となっています。

2.北海道のパークゴルフ場整備水準の現状

パークゴルフ場の整備量と整備水準を全道一円で見ると、コース(箇所)総数は863コース、ホール総数は18,865ホールとなっています。(H19年度末)

パークゴルフ場の推定総面積は、18,865÷18ホール×1.2ha=1,258ha≒1,260ha下注参照)となり、これは北海道の都市公園全面積10,284ha(17年度末)の12%に相当します。

人口千人当りの整備水準を北海道平均で見ると、コース数は0.15コース/千人、ホール数で3.37ホール/千人です。

注):日本パークゴルフ協会設置基準による18ホールの望ましい面積としてあげられている1.2haを目安とした。 なお当社調査によると、平成11年の18ホール当り平均面積は1.7 haであった。これを元に19年のおおよそのパークゴルフ場敷地面積を求めると、 18,865÷18ホール×1.7ha=1,782ha≒1,780haとなり、これは上記全道都市公園面積の17%に相当する。
○整備水準の経年変化

札幌を中心とした石狩支庁管内でのパークゴルフの整備状況は、平成11年から比較すると2.1倍の増加となっています。平成15年と19年では、約20%程度の増加であり、札幌圏の需要を見込んで施設整備の方向での流れがいまだ続いていると思われます。しかし、全道的に見ると平成15年17,245ホールと平成18年18,865ホールの整備量の増分(1,620ホール)は、約9%であり、ほぼ、横這いの状況に移行しつつあると考えられます。

○パークゴルフ場の管理運営状況の推移

ゴルフが公園を利用した手軽なレクリエーションから、次第に娯楽性、競技性を強めていく中で管理運営の状況も変わってきています。

  • 運営における民営下注参照)化は11年の9.5%から、15年14.2%、19年17.1%と進んでいる。
  • 料金の有料化傾向は下表のように19年には44.4%と半数近くが何らかの形で利用料金を徴収している状況となってる。
  • 公認取得率は確実に増加している。公認取得は民間コースでは、大会開催の必要条件であることや施設のグレードやイメージアップ効果が大きいため、パークゴルフ場の民営化の進行に伴い今後も取得率は増えると思われる。しかし、健康維持など地元住民が楽しむことが主目的の従来の公園・公共施設利用のパークゴルフ場では公認取得の動機は弱いと考えられる。
注)運営における民営・公営の区分 民営―民設施設及び公設においては自治体からの助成金が無い状態での地域同好会等の運営 公営―公直営(自治体による運営及び自治体からの助成金による地域同好会等の運営)、指定管理者制度による運営、第三セクターによる運営を公営とする
○パークゴルフ場の廃止・開設の動向

パークゴルフが考案され約30年間に急速に普及したことから、近年では開設とともに廃止箇所が見られるようになってきています。特に初期の簡便な施設でも楽しんでいたころと異なり、利用者からよりよい施設及び管理が求められるようになると、民間施設では競合施設の増加により経営や管理が立ち行かなくなる等で廃止が出てきています。

また自治体等設置者も多様な要望に答える形で整備した箇所を、見直し整理する傾向があり、開設の勢いは依然強いものの廃止箇所も見られるようになっています。

  • 整備の進んでいた十勝管内で、廃止が13箇所となっている。
  • 札幌の需要を見込んでの石狩管内での開設が18箇所と多い。

3.パークゴルフ利用実態調査

(1) 整備状況調査結果

石狩支庁管内の下表のコースで整備状況及び利用状況調査を実施しました。

石狩支庁管内の本調査を行ったパークゴルフ場では、民間・公営を問わず、経営感覚を取り入れた管理運営を行っている。特色のあるコースと行き届いた芝生の維持管理、そして大会の誘致などの企画運営を鋭意推進しており、現在の娯楽性、競技性を重視した施設運営といえる。このため施設は、クラブハウスをメインとしたゴルフ場のイメージと近いものであり、質の高いサービスを求める利用者が多いことが伺える。

  • 札幌市は主に河川緑地や総合公園など面積の大きな公園に、パークゴルフ場の整備を進めてきており、他のレクレーション施設とのバランスを図っている状況が伺える。しかし、その不足を補う形で、近郊の千歳市と恵庭市、石狩市の整備率が高く、近隣の市町村間でパークゴルフ利用者が移動していることが予想された。現地確認調査時にも、同一都市内の日常的利用と、都市間移動による非日常的利用の2形態が確認された。
  • 札幌市は、地価も高く、広さを必要とする施設であるパークゴルフの整備量は、0.73 H/千人と低い整備水準にある。札幌市のパークゴルフ愛好者の利用動向に注目すると、近年の活発な利用に施設整備が対応していない面もある。このため近郊に良好な施設が多く開設されてきたことと、最近の自動車の普及や交通事情の利便性の向上により、愛好者の利用圏域の広域化が進んでいる。これは後述のヒアリング調査で明らかなように、パークゴルフ愛好者の大部分が時間的余裕がある65歳以上の高齢者であることにも大いに関係している。パークゴルフ場は、三世代交流のニュースポーツであるが、競技性に特化した施設が最近人気を集めており、多様化してきているといえる。
(2) 利用状況調査結果

都市部のパークゴルフの利用状況を把握するために、道央圏の都市でヒアリング調査を実施しました。調査結果は、以下のようになります。

  • 男女比は男性6割、女性4割で若干男性が多い。女性は休日の利用割合がやや低い。
  • 利用者の年齢としては、50歳以上でほぼ9割以上を占めるが、その中でも65歳以上が6割を占めている。
  • 市内居住者の利用が8割以上を占め、無料施設ではこの傾向が著しい。また札幌市内からの利用者も1割以上を占めている。
  • 自家用車での来場が一般的だが、無料施設では自転車での利用者が多い。
  • グループ構成としては友人同士が多いが、地域団体での利用も1割以上を占める。
  • プレイ頻度は、週に1〜3回が5割以上で、パークゴルフが日常的な活動になっていることが伺える。また、無料施設では「ほぼ毎日」の回答が3割を超えている。
  • コースに対する嗜好は長めのコースや、山あり谷ありコース、障害物が少ないコースが好まれている。
  • ユニバーサルデザインの導入については、7〜8割が肯定的な考えを持っている。
  • 施設の有料制については「より良い管理のためなら認める」をはじめ、「しかたがない」など容認する回答が9割近くを占めている。しかし無料施設のみの回答では反対が2割を占めている。

4.パークゴルフの今後の方向性と課題

○今後の方向性
(1)レクリエーション性、快適性、競技性、運動性などを捉えた場合、高齢者を主体とした三世代のスポーツとして認められ、現在全国的に開発されている他のニュースポーツよりも優位に立つ可能性がある。海外を含め本州その他府県への拡大などにより、今後ますます愛好者人口やコース増加が予想される。
(2)競技費用が安価であること、競技のルールがわかりやすいことから、初心者でも手軽に楽しめるスポーツとして普及した段階から、現在では同好会、愛好会的つながりで高齢者のコミュニケーションスキルとして大きな役割を果たすという面が強くなっている。札幌市内では個々の愛好者が連携し町内会等で同好会が作られ、施設管理や大会の開催なども行っている事例もあり、他のレクリエーションとは異なる普及状況が見られる。このため、利用者の目指す方向と、多く参入してきている民間施設の企画運営がどのようにマッチするかが課題となると思われる。
(3)日本パークゴルフ協会の指導力と組織力が優れ、三世代の新しいスポーツとして持続性が高い。
(4)発祥の地である十勝管内では整備量が減少の傾向を示している。今後は、施設内容の充実やコース間の差別化が予想される。
○今後の課題
(1) コース公認の設置基準はあるが未公認のコースが約8割を占め、各コース間の整備内容や水準に大きな格差がある。有料制や管理運営体制と合わせて、その格差の対応が求められる。
(2) 今回の調査において、パークゴルフは高齢者の利用が非常に多いこともあり、始めた理由、続けている理由として「健康のために」とした回答が7〜8割を占めた。特に地方では日常的な健康増進施設として利用されている。病院や老人施設でも施設内にパークゴルフ場を設置しているところもあり、レクリエーションのみならず、健康や精神面での効果が期待されている。このようなことからパークゴルフはその自治体の医療・福祉・高齢者事業などと密接に関連していると思われ、今後はその相関関係を明確にして推進を図る必要がある。
(3) 公園の芝生地の有効利用から考案されたスポーツであることから、今後公園にパークゴルフ場を設置する際、環境保全やレクリエーションとしての芝生地と、パークゴルフ場としての芝生地とに明確に機能区分することが必要である。
(4) 地方部の整備水準が高く、都市部との格差が大きいという他のスポーツでは見られない現象がある。 その理由としては、・高齢者人口の構成比が違うこと、土地の価格差が大きいこと、地方部において人口の少ない集落が多く散在していること、レクリエーション活動の多様性に格差があることなどが考えられる。パークゴルフにおいては、整備水準の格差の大きいことが特徴であると共に今後の検討課題である。
(5) 帯広市をはじめとして、パークゴルフの冬期利用が盛んになりつつある。北海道においては積雪期間が長く、利雪、克雪の面からも冬期利用の推進の向けた対策が必要である。
(6) 競技性の特化により、ゴルフのように技術的に難しく、より攻略性の高いものを求める傾向が考えられるため、コースの競技レベルの設定においては利用者の志向を的確に捕らえることが必要となる。
(7) 三世代のスポーツとして利用者の年齢層が大きいことや公園の芝生地の利用が多いことから、競技上の安全性を十分に配慮したルールや施設づくりが必要である。
(8) 十勝支庁管内では、近年3〜4年間でコースの減少化傾向が見られ始めている。このことはパークゴルフにとって初めてのことであり、ほぼコースの整備量としては、充足されつつあると考えられる。よって今後は適正な整備水準の確立、市場の調査などに基づいたコースの整備が必要である。
(9) 利用者のパークゴルフに対する利用料金の負担は石狩支庁管内のヒアリング調査から、約9割が有料制を認める結果となった。しかし、その半数は、「よりよい管理のためなら認める」との条件付きであった。このことから今後のパークゴルフ場は質の高い管理運営の提供とその手法が必要となる。
(10) パークゴルフ場におけるユニバーサルデザインの導入については、約8割の利用者が肯定的な回答となっている。しかし一方では起伏のあるコース設定を望む声が多いことから、全コースにユニバーサルデザインを導入することは難しいと考える。このことから、今後の整備に向けては利用者の身体的能力や志向に応じて選択できるコースづくりが必要である。
(11) 地元特産品の直売所、温泉施設、バーベキューレストランなど他の施設との連携による相乗効果を考えた、相互利用の仕組や施設づくりが必要である。
(作成日:2012年4月   担当:川久)